レバレッジ勉強法 (11)勉強にレバレッジをかける7つのポイント
■1.高度な技の維持には反復練習が欠かせない
イチロー選手でも、毎日バットを握って練習を反復しなければ精度は落ちてしまいます。最近の理化学研究所の実験では、大まかなスイングの記憶は大脳皮質に分散して記憶される「長期記憶」に残りますが、細かい技は長期記憶に定着しにくく、日々鍛練しないと定着しないことがわかっています。「極限までバットコントロールを高める」というイチロー選手の意欲と毎日の練習が、超精密なバットコントロールを支えているのです。
■2.「力」「空間」「時間」をどこまでも高度に調整する
身体のコントロールには、おもに3つの要素があります。それらは、
(1)力の調整(力をどこでどれくらい発揮すればよいか)
(2)空間の調整(身体のどの部分の筋肉を使えばよいか)
(3)時間の調整(どのタイミングでどの技を発揮すればよいか)
の3つです。この3つの要素がうまく噛み合わさって初めて、すまらしいパフォーマンスを発揮できるのです。
■3.初心者は「分習法」で、上級者は「全習法」で練習する
上達速度は、練習形態で変化します。まず「練習密度」です。連続して練習する「集中練習」か、休憩を挟んで練習する「分散練習」かです。一般的には、「集中練習と分散練習を比較した場合、練習中は集中練習に比べて分散練習のほうが成績はよくなる(これを分散効果という)」といわれます。(中略)
練習形態にはもう1つあります。「全習法」と「分習法」です。たとえば、ある運動課題を3つの部分(1)(2)(3)に分け、まず(1)だけ、次に(2)だけ、最後に(3)だけを個別にするのが分習法です。そして、それぞれがある水準にまで高まったあと、(1)(2)(3)を統合して行う練習が全習法です。(中略)
前述の荒木氏は、「初心者には分習法がよく、学習者の技能水準が高いほど全習法が効果的である」と結論づけています。そして、「集中練習のときは分習法が、分散練習のときには全習法が効果的」とも述べています。(詳細は本書を)
■4.スポーツビジョンを高める方法
具体的なトレーニング方法としては、目の前に人差し指を立てて、遠くの対象物(たとえば雲や山など)と人差し指に、1秒間隔で視線を移動させるだけです。これで、この能力を簡単に鍛えられるのです。これらのトレーニングは、特に球技をしているアスリートに不可欠です。なぜなら、常にボールに焦点を合わせる能力が目に求められるからです。
■5.目標は「行動目標」+「具体的な数字」で
目標には大きく分けて「結果目標」と「行動目標」があります。たとえば「全国大会出場」というのは、典型的な結果目標です。(中略)
自己最高記録の更新という他者に左右されず、自分の能力を向上させる行動目標のほうが、順位は納得できなくても、モチベーションを上げやすいのです。さらにいえば、目標とする記録は、具体的な数字がいいでしょう。水泳の選手なら「できるだけ速く泳ぐ」という漠然とした目標ではなく、「今月末までにlOOm平泳ぎを1分3秒以内で泳ぐ」というような感じです。
■6.目標レベルは「+10%」か「達成率6割」に
小学生の「立ち幅跳び」の実験を紹介します。この実験では小学生に立ち幅跳びを2回行わせました。(中略)
もっとも記録を伸ばしたのは、1回目よりも10%だけ高い目標を設定したCグループでした。「10%記録を伸ばす」という目標は、けっこう使えるのです。(中略)
もう1つ紹介しましょう。
ハーバード大学のデビッド・マクルランド博士は、「輪投げ」で実験しました。(中略)
その結果、もっとも真剣に輪投げに取り組んだのは、5回の輪投げのうち3回的に入るような距離に的を置いたグループだったのです。「達成確率6割」という目標は、私たちを真剣にさせてくれるのです。
■7.「楽観的」は「能天気」とは違う
同じ努力をしても、「悲観的な人」は成功できません。逆に、少々才能に恵まれなくても「楽観的な人」はどんどん進歩していけます。
しかし、多くの人々が「楽観的」の本当の意味を見誤っています。(中略)
私がいう「楽観的」とは、「よくない状況をありのままにとらえ、そこから見事に脱出する具体策を考えること」です。逆境でも冷静に状況を判断して打開策を考えることこそ、楽観的な考え方なのです。