今北産業風・ねっとさーふぃんの記録@ほ(ん)の(り)むらさき

毎日やってるネットサーフィンの記録から一年間の自分を振り返るためのチラシの裏です

オプションの計算方法

オプション・プレミアム(値段)の計算方法。。。
将来価値を計算する方法は、不動産のCF計算にも似ているね。。。



オプション・プレミアム(値段)をきちんと計算するのは、かなり大変な作
業であるため、“プライサー”とよばれるソフトウェアを使いコンピュータで計
算するのが一般的です。プライサーは、オプションタイプ、満期日、権利行使
価格、金利ボラティリティ、現在の株価などの入力に対して、プレミアムや
その他さまざまな数値(リスクパラメター)を出力します。
今回は、オプションの計算ではよく用いられる“2 項モデル”とよばれる方法
によって、コール・オプションのプレミアムについて考えてみましょう。少し
難しいかもしれませんが、ここではその流れと考え方を追っていただくことで
十分です。計算の過程で、ボラティリティが深くかかわってきていることを納
得していただけると思います。
いま、年率 32%のボラティリティを持つある株の株価が 100 円であるとしま
す。明日この株を 99 円で買う権利、つまり満期日まで 1 日、権利行使価格 99
円の(ヨーロピアン)コールのプレミアムはいくらになるでしょうか? 話を
簡単にするために、金利を単利で日歩 1%として計算してみましょう。
年率 32%のボラティリティですから、1 日あたりのそれは 32%÷16=2%で、
株価 100 円に対しては 2 円程度の上下変動を仮定できます。そこで、明日の株
価の終値
ケースU:確率Pで 100+2=102(円)
ケースD:確率 1-Pで 100-2=98(円)
のどちらかが起こるとしましょう。このときの、明日の株価の期待値(=平均
値=[値×確率]の総和)は、
P×102+(1-P)×98=4P+98(円)
です。
一方、日歩 1%の金利で金を借りて、株価 100 円の株を今日買うとしたら、明
日の株価は、1 日分の金利が加算されて、
100×(1+0.01)=101(円)
となることが期待されます。したがって、
4P+98=101
が成り立つことが期待でき、これよりPを求めれば、P=0.75 がわかります。
確率Pの値がわかったので明日の株価についての 2 つのケースはそれぞれ、
ケースU:確率 0.75 で 102 円
ケースD:確率 0.25 で 98 円
となります。
ケースUが起こった場合、権利行使価格 99 円より 3 円高い株価になっている
(イン・ザ・マネー)わけですから、99 円で権利行使して 102 円で売却すること
で 3 円の利益が出ます。一方、ケースDでは、権利行使価格より低い株価です
から、権利行使は意味がなく、このコールも価値がありません(アウト・オブ・
ザ・マネー)。したがって、それぞれのケースについて、明日の時点でのコール
の価値は、
ケースU:確率 0.75 で 3 円(イン・ザ・マネー)
ケースD:確率 0.25 で 0 円(アウト・オブ・ザ・マネー)
となり、期待値(平均値)をとると
0.75×3+0.25×0=2.25(円)
しかし、これは明日の時点での価値です。今日の時点での価値は金利 1%の分だ
け下がります(明日の 101 円は今日の 100 円に等しい)。つまり、
2.25÷(1+0.01)=2.2277(円)
これがコールのプレミアム(値段)です。計算では、金利(日歩 1%)とボラテ
ィリティ(年率 32%)が重要な働きをしている点に注意してください。
もう一歩深く考えましょう。同じ仮定で満期日まで 2 日あるとしたらどうな
るでしょう? さきほどの例よりもう 1 日多いのですから、1 日目で株価 102 円
になるケースUの場合が、2 日目に、さらに次のように 2 つに分かれます。
ケースUU:確率 0.75×0.75 で 104 円(2 日目も 2 円上がる)
ケースUD:確率 0.75×0.25 で 100 円(2 日目は 2 円下がる)
同様に 1 日目で株価 98 円になるケースDの場合も、2 日目には次のように 2 つ
に分かれます。
ケースDU:確率 0.25×0.75 で 100 円(2 日目は 2 円上がる)
ケースDD:確率 0.25×0.25 で 96 円 (2 日目も 2 円下がる)
それぞれのケースについて株価と権利行使価格(99 円)とを比べると、2 日後
の時点でのコールの価値は
ケースUU:確率 0.75×0.75 で 5 円(イン・ザ・マネー)
ケースUD:確率 0.75×0.25 で 1 円(イン・ザ・マネー)
ケースDU:確率 0.25×0.75 で 1 円(イン・ザ・マネー)
ケースDD:確率 0.25×0.25 で 0 円(アウト・オブ・ザ・マネー)
これら 4 つの場合の期待値をとって、
0.75×0.75×5+0.75×0.25×1+0.25×0.75×1+0.25×0.25×0=3.1875
これを今日時点での現在価値に(2 日分)割り引いて、コールプレミアム
3.1875÷(1+0.01×2)=3.1250(円)
を得ます。満期日まで 1 日のプレミアム(=2.2277 円)より高いですね。一般
的に、“満期日まで長いオプションの方が、そのプレミアムが高くなる”のです。
さらに、ボラティリティのプレミアムへのかかわり方について、もう少しだ
け考えてみましょう。同じ例で、ボラティリティが 32%でなく 2 倍の 64%であ
ったとしたら、1 日あたりのボラティリティは 64%÷16=4%とみなされ、一日
の株価の変動が上下 4 円となります。したがって、さきほどの 4 つのケースは
それぞれ、
ケースUU:確率 0.75×0.75 で 9 円(イン・ザ・マネー)
ケースUD:確率 0.75×0.25 で 1 円(イン・ザ・マネー)
ケースDU:確率 0.25×0.75 で 1 円(イン・ザ・マネー)
ケースDD:確率 0.25×0.25 で 0 円(アウト・オブ・ザ・マネー)
と変化します。これより、プレミアムは
0.75×0.75×9+0.75×0.25×1+0.25×0.75×1+0.25×0.25×0=5.4375
5.4375÷(1+0.01×2)=5.3309(円)
と計算されます。
この結果は、“ボラティリティが上がるとオプションの価値も上がる”ことを
示しています。オプションをある値段で買う、ということは、その値段に含ま
れているボラティリティ(これを“インプライド・ボラティリティ”という)
を低いとみなし、それよりも高いボラティリティを今後の市場に仮定している、
ということに他なりません。つまり、対象の証券は、将来はもっと変動すると
考えている、ということなのです。